【24時間、戦えますか!】あの有名CMシリーズを通じて、バブルからの日本経済を振り返る!!
日本経済回復!!しかし若者は好景気が何かわからない!!
今日の日本では、景気回復に関するニュースが数多く報道されています。
先日4月22日には、IT(情報技術)バブル期の2000年4月14日以来、15年ぶりとなる終値での日経平均2万円台を記録。「バブル再び!?」のような声まで、ちらほら聞こえてきます。
しかし、僕はバブル後に生まれたので、バブルがどんなものなのかが分かりません!!←
そこで今回は、
「あるCM」の歴史と共に、日本経済の移り変わりを「視覚的に」体感したいと思います!!
その、「歴史あるCM」とは、バブル時代に「24時間、戦えますか」というフレーズが大流行した、栄養ドリンク「リゲイン」のCMシリーズです!!
リゲインとは・・!?
バブル期の真っ只中(1988年)に発売開始されたビジネスパーソンをターゲットにした栄養ドリンク!1988年から現在まで、多くの「サラリーマンを描いた」CMが放送されてきました!
このリゲインのCM内で描かれている日本の「サラリーマン像」の変遷を通して、「日本経済の移り変わり」、「働くことに対するイメージ」が分かるはず!!
それでは早速、時代ごとに、リゲインのCMを見ていきましょう!
高度経済成長期(1988)
キャッチコピー:「24時間、戦えますか」
テーマ:バブル期のグローバルエリートサラリーマン像
「24時間、戦えますか」。この聞き覚えのあるフレーズは、1988年から1992年まで放送されていたリゲインのこのCMシリーズのキャッチコピーです。
当時は流行語にも選ばれるほど、このCMは時代を象徴するものでした。大きく口を開けて、力強く「勇気のしるし〜リゲインのテーマ〜」を歌う時任三郎の姿は、元気に満ち溢れていたバブル期の日本そのものを表しています。飛行機や外国人ビジネスマンとの討論のシーンなどから、バブル時代の「世界に誇る強い日本のサラリーマン」像が描かれていることがわかります。
バブル崩壊〜失われた20年(1999)①
キャッチコピー:「その疲れにリゲイン」
テーマ:バブル崩壊後の、どこか間抜けなイメージのサラリーマン
しかしバブル崩壊後は、サラリーマンのイメージは大きく変わりました。不況の影響で、「いつも疲れていて明るくない」イメージになってしまったサラリーマンが、このリゲインのCMで描かれています。
このCMシリーズは、他の作品でも佐藤浩市演じるサラリーマンが、電車に乗り遅れたり、電柱にぶつかったりと、多くの「かわいそうな」目に遭ってしまいます。サラリーマンが自信満々に大きく口を開けて歌っていた時代は、終わってしまいました。また、この時代から、リゲインのターゲット層も「タフさ」から「疲れ」にシフトしたと考えられます。
バブル崩壊〜失われた20年(1999)②
キャッチコピー:「たまった疲れに」
テーマ:社会全体が疲れていることが明白に。。
1999年から公開された「たまった疲れに。」シリーズ。坂本龍一がピアノを演奏しているこのCMは、「24時間、戦えますか」の「勇気のしるし」とは対照的な、静かで荘厳なピアノ音楽がテーマ曲になっています。映像に関しても、以前は、元気を出す明るい雰囲気の黄色が全面的に押し出されていたのに対して、このCMは青が基調の暗く、悲しみや不安を印象づける映像になっています。
1999年になると、景気の悪化はさらに深刻化し、本格的に目に見える不況になっていました。こうした背景から、好景気の時代は前向きなものだった「働く」という概念が、暗くて悲しい「疲れ」というイメージになっていったことを、このCMから感じることができると思います。
景気回復期(2007年)
キャッチコピー:「24時間、働けますか」
テーマ:景気が回復、かつてのようなサラリーマンの勢い
2007年7月1日から公開されたリゲインのCMは、バブル期のリゲインを思い起こさせる、原点回帰的な内容になっていました。あの力強い「勇気のしるし」をバックにサラリーマンの「過酷すぎる」出社風景を表しています。しかし、バブル期とは違い、サラリーマンの厳しさも前向きに描かれているところが、不況を経験したサラリーマン像を現実的に表していると思います。
このCMが放送された2007年は、日本が好景気に傾きつつあり、多くの人が景気回復に胸を躍らせていた時期でした。そこで、リゲインは、バブル期の古き良き時代を思い起こさせる、この「24時間、戦えますか」CMをリニューアル!。映像技術が高まり、バブル期よりも純粋に面白いCMになっていますね。
しかし、残念ながら1年後のリーマンショックによって、再び不況の時代を迎えてしまうのですが。。。
景気回復、ブラック企業問題(2014年)
キャッチコピー:「3、4時間、戦えますか?」
テーマ:景気回復するも、すでに「栄養ドリンク」の時代じゃなくなった!?
2013年、「ブラック企業」という言葉がユーキャン新語・流行語大賞を受賞し、日本の過酷な労働環境が社会問題にまで発展しました。そこで、リゲインは時代錯誤になってしまった「24時間、戦えますか」の替え歌を披露!「24時間、戦うのはしんどい」、「3、4時間、戦えますか」といった内容の、現代に合わせたストレートなCMを公開しました。仕事とプライベート両方の充実が理想とされている現代社会を、過去の自社CMを皮肉る形で、見事に表していると思います。
エナジードリンク市場に参入
また、2014年に発売された、この商品はリゲインがエナジードリンク市場に参入したことで大きな話題になりました!しかし、ただのエナジードリンクとして参入しても「レッドブル」や「モンスターエナジー」との競争は非常に激しいです!
そこでリゲインは、「うる星やつら」のラムちゃんをキャラクターとして使用し、バブル期に若いサラリーマンだった、リゲインのブランド力が強い「働く30〜40代」にターゲットを絞り、海外エナジードリンクメーカーとの差別化する戦略を立てました。バブルのイメージが強く、縮小傾向にある栄養ドリンク市場の中でも、ここまで柔軟かつインパクトのあるエナジードリンクへの対応は、さすがリゲインといったところでしょうか。
ここで紹介したリゲインの例は、ターゲットのイメージが変化すると、広告も変化することが現れているいい例だと思います。
バブルから日本を支えてくださっている方々も、バブル後に生まれ育った若い方々も、1980年代のCMを振り返り、ヴィジュアルに現れるバブルの雰囲気を「視覚」で感じてみるのもいいのではないででしょうか。
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